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【ネタバレあり】「天気の子」感想と考察

投稿日:2019-07-23 更新日:

こんにちは。

先日「天気の子」を観てきました!
これがとんでもない問題作でした。(笑)

絶賛の声もあれば非難轟々の声もある映画だと思います。笑

僕はこの映画に深いメッセージが隠されていると感じました。

今日はガッツリと考察を書いていきたいと思います。

(以下、ネタバレを含みますのでご了承ください)

 

天気の子とは

「天気の子」は2016年に大ヒットした「君の名は。」の監督で知られる新海誠監督の最新作です。

森嶋帆高は高1の夏、離島から家出して東京にやってくる。しかし生活に困窮し、怪しげなオカルト雑誌のライター業の仕事に就く。彼のこれからを示唆するかのように、連日雨が降り続くなか、都会の片隅で帆高はひとりの少女に出会う。その少女・陽菜はある事情を抱え、弟とふたりでたくましく暮らしていた。そんな彼女には、祈るだけで空を晴れにできる不思議な能力があった……。

 

以下ネタバレですが、陽菜は晴れにする能力を得る代わりに人柱になって天の国に連れてかれてしまいます。帆高はこの国に雨が降り続くことと引き換えに陽菜を現実世界に連れて帰るのでした。

正直このラストには賛否両論あります。

でも、このラストじゃなきゃ新海誠が伝えたいメッセージを完全に伝えられないと僕は思います。

「天気の子」で新海誠が伝えたかったことがなんだったのか

独断と偏見で紐解いていきたいと思います。

 

考察:子どもの世界VS大人の世界

今回の作品の裏テーマは子どもVS大人です。

これは年齢で区別するのではなく精神年齢で区別されます。

この映画を読み解くうえで、まずは子どもの世界観と大人の世界観を理解する必要があります。

まずは子どもの世界を観ていきましょう。

 

子どもの世界観:夢が実現する世界(反知性主義)

一言で言えば、子どもの世界とは自分の思い通りになる世界です。

社会のルールだとか他人の迷惑だとか科学的論証だとかは一切関係ありません。

自分が思ったこと=真実です。

帆高は子どもの世界の代表です。

だから大人から親元に戻れと言われても一切戻らないし、自分の夢を叶える(陽菜を助ける)ためには警察相手だろうとお世話になった相手だろうと銃で立ち向かいます。

子どもに大人の理屈など通用しないのです。

哲学的に言えば「子どもの世界=反知性主義」と言えるでしょう。

 

大人の世界観:現実と折り合いをつける世界(反・反知性主義)

対して、大人は夢などほとんど実現しないことを知っています。言い換えれば、大人の世界とは夢と現実に折り合いをつけた世界です。

世の中は綺麗ごとではなにも解決しない。夢を追いかけていてもご飯は食べれない。これが現実です。

ライターの須賀圭介は大人の代表です。

たとえ嘘だとわかっていてもオカルト記事でしかカネを稼げないので、そういう記事を書いているのです。

大人の世界観に立てば、子どもの世界は単なる夢物語でしかありません。本当に子供であるのならともかく、いつまでも子供気分に浸っている人を大人は非常に冷淡に見ています。

哲学的に言えば、「大人の世界=反・反知性主義」と言えるでしょう。

 

天気の子では子どもの世界が圧勝する

さて、お互いの世界観がわかったところで話を戻します。

当然ですが、日常世界では「大人の世界VS子どもの世界」の戦いはまず大人が勝ちます。

しかし、「天気の子」では子どもが勝ちます。子どもの世界が正しい世界として描かれ、子どもの夢が実現し結末を迎えます。

これは通常まず起こり得ない、きわめて不可解な結末です。

大人の世界の住民からすれば当然こんな疑問を持つはずです。

  • こんなことは起こり得ない。馬鹿げている。
  • 3年間雨が降り続く結末で本当にいいと思っているのか。
  • 周りに迷惑をかけてまで自分の幸せを追求する主人公には共感できない。

僕と一緒に観た方は「帆高は実は精神障害で現実と虚構の区別がつかなくなっているんじゃないか」とまで言ってました。

繰り返しになりますが、天気の子では子どもが勝ちます。帆高が思ったことがその通りになります。

そしてそれが良しとして描かれています。

 

この結末は大人にとって正直心配です。

こんな結末を良しとしてしまったら、みんな他人の迷惑など考えず自分勝手に突っ走り、秩序のない世界になってしまうかもしれません。

純粋無垢の子どもが「天気の子」の影響を受けてしまったら、もはや有害です。

 

天気の子は絶望している人のための映画である

大人の目線でみれば、「天気の子」は通常起こり得ない結末が描かれた夢物語の作品でしかありません。

 

ですが、1回だけ子ども側を擁護させてください。

 

おそらく、「天気の子」は健康で分別のある「大人」のための映画ではありません。

はたまた、夢にあふれて元気いっぱいの少年少女のための映画でもありません。

 

夢破れて挫折し、孤立無援で半ば存在しないかのように生きている「元・子ども」のための映画なんです(>_<)

 

敗れ去った「元・子ども」は現実世界で名声を得ること、お金持ちになることはほぼ不可能です。

もし今孤立無援で生きているのならば、たくさんの友人に囲まれることも厳しいでしょう。

 

そういった目に見えない資産は長年の蓄積によるものです。簡単に手に入れることはできません。

でも、そんな虐げられた「元・子ども」は一生救われないのでしょうか?

そんなことはありません。彼ら彼女らにも救いがあります。

 

フィクションの世界なら現実世界をひっくり返すことができる。

 

ここがこの映画の肝です。

現実世界では「子ども」は「大人」になかなか勝てません。
しかし、「大人」がどれだけ正論を語ろうがフィクションの世界では通用しないのです。これがフィクションのもつパワーです!

 

ここからは私の想像ですが、多分若き日の新海誠も同じような絶望を味わっていたのではないでしょうか。

誰からも理解してもらえず、世間からは馬鹿にされ、世の中に絶望し、生きているのか死んでいるのかわからないような日々を過ごしていた…。

それでも新海誠は(大人がなんと言おうと)自分の道(夢)を貫き通しました。

 

その結果、、、

 

新海誠は今では世界を代表するアニメーターになりました。

 

新海誠がトップアニメーターとして揺るぎない地位を手に入れたことは本作品でも重要なメッセージとなっています。

成功した彼だから。大人も賞賛せざるを得ない彼だから。

「子どもが大人に勝つことができる」というメッセージが力を持つんです。

人生に絶望してた元・子どもが勇気をもらえるんです。

 

これほどまでに大成功した新海誠も実は子どもの世界の住人だったのですね。

僕はこの映画を「救済」の映画だと思いました。

(参考までに、新海誠が「君の名は。」で世間に認められたのは彼が43歳のときです)

 

世界なんてどうせ狂ってる

この映画が伝えたかったこと。

それは須賀が最後に呟いた言葉がすべてだと思います。

 

「世界なんてどうせ狂ってる」

 

今、われわれが生きているこの世界も確実に狂っています。

だってドナルド・トランプが米国の大統領になる世界ですからw

 

いま死んだような日々を過ごしていても、いつかきっと救われるときが来ます。

自暴自棄になってはいけません。世界なんて全然正しくないんですから。

そういうことを伝えたいんだと思います。

個人的感想

最後に自分の感想を書きます。

世界は狂っているけど、それは受け入れざるを得ない。だからその代替としてフィクションで現実世界をひっくり返すのはアリだと思う。(思想的影響を考えるとR18にすべきかもだけど、)それで救われる人がいることは間違いない。「天気の子」は映画界の常識をぶっ壊した作品だと思う。

フィクションの力強さを感じる作品でした。

皆さんはどんな感想を持ちましたか?

今日は以上です。

  • 作品名:天気の子(日)
  • 上映時間:114分
  • おすすめ度:★★★★★

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